残酷天使のララバイ~The last love songs~
「……もう少し、性能のいいPCが使えれば、うまくいくはずだったんだ」
「……でも、君の使っていたCPUは、蝸牛製の最新機種だろう?
それ以上のやつが、どこに行ったら手に入るって言うんだよ」
「……」
ガッコウの保健室みたいな簡単な医務室だった。
そのベッドににひっくり返って、唸る僕に、アリス・ラビは、処置なしとでも言うように肩をすくめた。
「メディカルチェックは、一週間伸びて、三週間後になったよ。
……まだ、幻想人形に乗る気があるなら、ね?」
「……乗る」
「言っとくけど、幻想人形では戦闘をするんだからね?
今回みたいな、失火ぐらいは日常茶飯事……とはいかなくても、そう珍しくはないはずだ。
火にトラウマがあるなら、やっぱり現場よりも後方支援に回った方が……」
「……でも。
僕が乗らなくちゃ……茜が乗るんだろ?」
「……たぶんね」
じゃあ。
やっぱり僕がやらなくちゃ、だめなんじゃないか。
「別に、火が出てちょっとびっくりしただけだから。
やけどもほとんどしてないし、今度はもっとうまくやるよ」
「……ちょっと、びっくり、ねぇ?
どーしても、乗りたいって言うんだったらまたチャンスをあげるけどさ。
今度はきちんとチップを埋めて、フツーのパイロットと同じ条件で幻想人形を動かしてくれる?
ちょっとばかり、優秀でもやっぱ君は、地球人なんだよ。
実力もないのに格好つけているとみっともないし。
……死ぬよ? 近いうちに」
らぴの言葉は、一々ひっかかるけれども仕方がなかった。
あんな、失態をしてしまったら誰だって……
僕は、はあ、とため息をついた。