残酷天使のララバイ~The last love songs~
「蒼……!
 平気!?」

 僕のため息を聞きつけたみたいに。

 医務室に飛び込んで来たのは、茜だった。

 そのまま、茜は泣きそうな顔で、僕に抱きついて来た。

「大丈夫だよ。
 ちょっとやけどをしたくらいで……いつも以上に元気なくらいだ」

 不用意に、茜のカラダに触れないように。

 微妙に彼女を誘導しながら言った僕の言葉に、茜は泣き笑いみたいな顔で返す。

「今度は、無茶なことをしないでねッ!
 チップを入れた方が安全なら、ちゃんと従わなくちゃいけないんだからッ!
 蒼は、スーパーマンじゃないのよ!」

 ごもっとも。

 でも。

 安全、ね。

 気をつけては、いたけれど。

 思わず、皮肉っぽい顔になってしまったらしい。

 僕の表情を見て、茜は、かんかんに怒り出した。

「……冗談じゃないのよッ!?」

「はい、はい」

「はいは、一回!」

「は~い」

「もっと、マジメにッ!」

「どう言えばいいんだよ!」

 茜は、可愛い。

 笑った僕に、茜の膨れっつらが重なった。





 ……僕は、死ねない。

 ……こいつを一人きりになんて、とてもできやしないから。
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