蜜花 -First.ver1-
第一章

温和


…プロローグ。





―入学式…

一人の少女が桜の下にいた。

少女を囲むように、散った桜と舞う桜が静止している。

それは一枚の絵のようで。

そこだけが別世界のようで。

誰もが気付かないほど、

儚く消えてしまいそうだった。


―彩帆ーっ!

少女の名前なのか、呼ばれた声に反応し

少女は静かに振り返った。
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