蜜花 -First.ver1-
部活も終わり、私と透、千代と閑玖はそれぞれ帰宅。
千代は4人で帰りたいと言ったが、閑玖がそれを拒否してさっさと帰ってしまった。

思えば、私達はあれだけ仲が良いのに、4人で帰ったり…Wデートとかも、したことがない。
詩織を含めてみんなで帰る時は一緒に帰るんだけどな…。

カップル×カップルは、絶対に閑玖が拒否する。
きっと恥かしいんだろうけど、そんなのあいつのキャラに合わない気がする。
…意外とシャイなんだろうか?

そしてふと、隣に居る透を見上げた。
部活で疲れたのか、眠そうな顔をしているが…手はしっかりと繋がっている。

「ねえ透?」

「んー?」

眠そうだけど、目は優しさを含みながらこっちを見てくる。
この表情が、あたしは一番安心する。

「告白…してくれた日のこと覚えてる?」

「…えっ!?なん…なんで急にっ!?」

眠そうだった顔が、一気に赤くなる。

「あの時さ…一人であたしの教室に来た?」

「?…もちろん。」

「…そっか。」

透は「なんで?」と首をかしげるが、あたしは黙ったまま。

じゃあ…あれは本当に誰?

偶然で、あれを見たの?

あたしの頭の中はハテナでいっぱいだけど、まあいいか…と自己解決。

「なんでもないっ!」

そう透に言って、帰り路を歩いていった。
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