蜜花 -First.ver1-
閑玖は、私が詩織のために壱夜くんに会いに行くことを知っていたの?



確かに私は個人的にも壱夜くんに会いたい。
一応は小学校が一緒だったし、詩織とずっと仲が良かったから一緒に遊んだこともある。

でも今一番会いたいのは、詩織のため。

いくら幼馴染だからといって、毎日自分から会いに行くのはキツいだろうと思ったのだ。
ましてや壱夜くんは、すでに働いているわけだし…。
仕事の邪魔にはなりたくない、と詩織は言っていた。
だから「あたしに会わせるため」と口実を作れば、詩織だって会いに行きやすいハズ。

…とあたしは思ったのだった。


それを…こいつが…閑玖が気付いてた?

あたしは不思議な気持ちでいっぱいで、まじまじと閑玖を見つめた。

「…なんだよっ。」

そう言って睨む閑玖の顔が、どこか赤い。

「なんでもない。…ありがと。」

あたしは素直にお礼を言った。

すぐに閑玖はニカっと笑い、

「口止め料、貸しとして付けておくからな♪」

そう言った。
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