蜜花 -First.ver1-
「間に合ったー…。」
丁度バスが来たところに着いたあたしたちは、滑り込みセーフ。
周りの視線がちょっと痛いけど、ここは良しとしておこう。
「どこで降りるの?」
「氷室総合病院前!」
…病院前にちゃんとバス停があるのね。
隣に座っている詩織を見ると、やっぱり嬉しそう。
その笑顔を見ていると、自分も笑いたくなってくる。
「そういえば昨日、壱夜くんと何かあったの?」
「えっ!?」
突然の質問に、顔を真っ赤にする詩織。
「…えと…。お昼食べて、直行で空港に行ったの。そこからバスで病院まで行って、壱夜の荷物の整理を手伝ってきたの。その後タクシーで壱夜の家まで行って、晩御飯ごちそうになっちゃった♪」
えへへ、とほほえむ詩織はやっぱり幸せそう。
「じゃあ何で今朝は眠そうだったの?」
その言葉に、詩織は顔をしかめた。
「…彩帆、質問が直球すぎ…。」
そう文句を言う詩織は、やっぱり幸せそう。
「ずっと語りっぱなしでさぁ…もう話がつきないの。楽しくて楽しくて、気がついたら朝だったよ…。」
そう言って頭をかく詩織。
「じゃあずっと壱夜くんの家に居たの?」
「隣同士だもん、あたしの家だって壱夜の家だって同じようなもんだよ。」
そう言って勢いよく「止まります」ボタンを押した。
「さあ♪着くよーっ!!」
そう言ってあたしの肩をバン!と叩いた。
…痛いってば…。