蜜花 -First.ver1-
―ウィーン…
自動ドアを通り抜け、中に入るとそこは…
うん、病院。
「にしても大きいなー…。」
「総合病院だからねー。」
普通にそう言ってるけど、総合病院にしたってここは大きすぎる。
キョロキョロするあたしに、スタスタと歩く詩織。
それは何だか面白いようで、所々にいるお年寄りさんはあたし達を見て笑っている。
「ここにいるよ♪」
詩織の後に付いてきて、到着したのは薬局だった。
「…臨床研修医じゃなかったっけ?」
あたしはそう詩織に尋ねると、
「そのハズなんだけどね…。」
と、苦笑いをした。
とにかくここに壱夜くんが居るんだとしたら、早速入ってみよう。
―ウィーン…
「壱夜ー!」
詩織の声が薬局に響く。
案の定、患者さんは居ないみたい。
「あ、詩織…。来てたんだ。」
受付の奥からひょっこりと…久しぶりに会う、壱夜くんの顔があった。