蜜花 -First.ver1-
「遅いぞー!!」
薬局に戻ったあたしに、そう詩織はふくれて言った。
「迷ってると思ったよーっ。」
「ごめんごめんっ!」
そう言ったあたしの手には、ジュースが無い。
「…どこ行ってたの?」
「噴水!」
そう言って、さっきまでの話を教えた。
「…なるほどね。いいなあー。私も会ってみたかったよう!」
「また会えるよ!」
絶対に忘れない。
おのおばあさんの笑顔だけは、絶対に。
「…そういえば、壱夜くんは?」
「ちょっと前に、全部読み終わったーって言って、出て行ったよ。」
…不思議な人だ。
「あ、壱夜からメールだ。」
「…何て?」
「本を運ぶから、至急手伝って! 一階院長室まで。 …だってさ。」