蜜花 -First.ver1-

「いやあ~助かったよ!」

あっはっは、と笑う壱夜くんに対し、ゼーゼー言ってるあたし達。

「なんでこんなに量があるのよ!!」

詩織が怒鳴るけど、疲れているのか迫力不足。

メールをもらったあたし達は、院長室に行って大量の本を運びこんで、元々薬局にあった大量の本を院長室に戻しに行った。

…その量が多すぎて重い!!

「…さてと。僕は読書の続きをしようかな♪」

そう言って受付に戻り、読書を再開する壱夜くん。

そんな様子にあたしも詩織もため息。

「もう時間じゃない?」

時計を見たあたしは、そう詩織に告げる。

「…そっかあ。」

詩織は寂しそうに笑い、壱夜くんを見た。

「また来ていい?」

その声に壱夜くんは

「良いよ。いつでもおいで。…って言っても、夜は家に居るから隣同士だけど。」

そう言って笑った。

「いつでもってどの位?」

詩織が不安そうに聞いた。

「毎日でもいいよってこと。」

そう言って頭をポン、とする。

「本当に!?じゃあ毎日行くよ!」

詩織の顔がぱあっと輝いた瞬間―…

―…ちゅっ

壱夜くんの唇が、詩織の頬に触れた。

「約束の印♪」

ちゃんと毎日来いよ?と意地悪そうに微笑む壱夜くんと、真っ赤になっている詩織。

「わ、わ…わかったっ!!」

詩織はそう叫ぶと、あたしの腕を掴み、一目散に薬局を出て行った。

「ふ、不意打ち~…。」

バス停まで走った後、詩織は真っ赤になった頬を押さえてしゃがみこんでしまった。

そんな詩織にあたしは「よしよし♪」と頭を撫でた。
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