蜜花 -First.ver1-
「透!!」

あたしはすぐに透の元へいった。

閑玖は手を握り締めたまま、立ちつくしていた。
瞳は何も見ていない。

…何で閑玖は透を殴ったの?

「…ごめん!」

我に返った閑玖も、透の元へいく。

「おまっ…何なんだよ!?」

透が少しキレて言った。

「ごめん。…よくわかんねぇ。」

透はゆっくり立ち上がり、あたしと閑玖も立ち上がった。

「…千代が居てくれたらなあ。」

閑玖がポツリと言う。

「お前ら、あんまラブラブするなよ。千代が居ないから、こっちは寒いじゃんか!」

そう言って、透の肩をバシっと叩いた。

「閑玖、お前なあ~!!!」

透が閑玖に向かって手を振り上げる。

ギャーという叫び声と、参ったか!と偉そうな声が響いた。

「閑玖八つ当たりするなよな!!」

「うっせー!」

あたしはそんな光景を、ただボーっと見ていた。
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