蜜花 -First.ver1-
「あれ?…閑玖は?」
自販機から戻ってきた透がキョロキョロする。
「何か…帰ったよ?」
「ん?…そか。」
折角3本買ったのになあ~と嘆く透を横に、あたしは閑玖が去った道を眺めていた。
透と閑玖がじゃれ合うのは、いつものこと。
殴り合いなんて、いつものこと。
なのに…
今日は何かが違った。
閑玖のあの目は何?
「透、今日閑玖…変じゃなかった?」
「そうか?うーん…。千代ちゃんがいないし、俺らにヤキモチ焼いたんだろ♪」
そう言ってあたしを後ろから抱きしめる。
あたしは透の香りにつつまれ、ふうっと息を吐いた。