蜜花 -First.ver1-

出逢.2


―雄貴side―

「あれ?雄貴どこ行くの?」

「ん?サボリサボリ。」

休み時間も終わり、みんなが慌ただしく授業の準備をしてる最中。
俺はサボリのために屋上に向かった。

「いいなあ雄貴!」

後ろの方で叫んでいる我が親友"智坂明(あきら)"。

…フフン♪
悔しかったら学年トップになれっての♪

俺はこう見えても"学年トップ"という肩書きを背負っている。
おかげで授業をサボっても怒られないし、女子からはキャーキャーと騒がれる。

でもさっきの明だって、決して頭が悪いわけではない。
…というか、学年2位だ。
あいつだってサボろうと思えば、サボってもいいハズなのに。
変なところに几帳面らしく、授業はあまりサボらない。

それがあいつの良いところか。

…話は戻り。

"学年トップ"

そう言うだけで、誰もが尊敬の眼差しを向けてくる。
だけど一方では"学年トップとは格が違いすぎる!"とか何とか言って、みんな離れていく。

…だけどそんなに凄いことか?

ビリがいればトップもいるわけで、そんな考えはおかしいと思うのだが。

…まあとりあえず、そんなこんなで…数少ない友達の中、明だけは格別に違った。

"学年トップ"という肩書きで見ず、"斎条雄貴"として見てくれる、最高の親友だ。

「あっ!雄貴くんだー!」

「本当だ!雄貴くんだっ♪」

「キャーッ!かっこいいっ!!」

屋上に向かうまでにすれ違う何人かの女の子達。
その一人一人に、特上のスマイルを送った。

…どうやら女の子にとっては"学年トップ"より"王子様"の方が印象深いらしい。
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