蜜花 -First.ver1-
「び…っくりしたっ!」
そう言って目を丸くし、彼女は笑った。
「あ…あのっ!」
「ん?」
今度は何?
「キ、キス…しました?」
…随分大胆な質問するなあ。
さすがに恥ずかしいのか、彼女は俯いたまま動かない。
―コツン。
俺は顔が上がるように、頭を軽く叩いた。
「え?」
予想通り、顔が上がる。
…面白いなあ。
俺はクスクスと笑っていた。
「おしかったなあ~…何もしてないよ。」
そう俺は彼女に告げた。
…モチロン嘘だ。
でも彼女は信じたのか、ホッとした表情を向けた。
「彼氏居るの?」
何となく気になり、訊いたみた。
さっきの反応が、少し引っかかったからだ。
「います…けど何か?」
…やっぱり。
「…似てる…。」
思わず声に出してしまった言葉。
―…本当に、あいつに。
「あの、今"似てる"って言いました?」
「ん?…言ってないよ?」
俺は笑顔で返した。