蜜花 -First.ver1-
その後俺たちは、他愛もない話で盛り上がっていた。
「あれ…そういえばさ、名前何?」
俺としたことが、訊くの忘れていた。
「彩帆っ!…丹野彩帆です。」
彩帆ね…。
すぐに頭にインプットする。
「彩帆ちゃんね。…面倒だし、彩帆でいい?」
そう言った俺の言葉に少々戸惑っている様子だったが
「いいよ!」
そう笑って返してくれた。
「了解、じゃあ俺は一眠りするから…、襲うなよ?」
「襲いません!」
俺のからかいにも、楽しそうな反応を示してくれる。
よし、じゃあ寝ますか…。
そう思って寝転ぶと…
「ね、斎条くん…?」
そう呼ぶ彩帆の声。
…彩帆の声?
俺はいつの間にか彼女の唇を奪っていた。
「サイジョウクン…」
そう呼ぶなよ。
むかつくんだよ。
あいつに似ている、お前の口から聞きたくない。
―サイジョウクン…―
お前だって…
お前だってさ…