蜜花 -First.ver1-

―…

「!?!?!?」

驚く君の顔を見て、今した自分の行為に気付いた。

「俺のことは"雄貴"って呼んで?"斎条くん"って呼んだら罰ゲームね♪」

そんな言葉でごまかす。

勝手に口が開いた。
過去を悟られまいとするように。

でも彼女は涙目になっていた。

「ぅうえ~…。」

変な声を出しながら泣き出す君。

「えぇぇ!?」

キス位で普通泣く!?

そんな反応を示されたのは初めてで、俺はどうすればいいのか解らない。

「何で泣くの!?」

そうストレートに聞いても、彼女は答えない。

「は、初めてだったのにぃ~…!」

「えぇぇ!?!?」

やっと開いた口からは、意外な言葉が。

「彼氏…いるよね?」

「ほっぺ止まりだもん…。」

…ありえん…!

俺はそんな事実に「あちゃー…」と頭を抱えた。

「…カツク。」

「え?」

急に睨んで放たれた言葉。

「ムカツクっ!ファースト返せこの変態!!」

…なんでそうなるっ!?

「落ち着けって!!」

でもそんな彼女が可愛くて、怒られたけど、損な気持ちにはならなかった。
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