蜜花 -First.ver1-
「何々!?壱夜くんて…こないだ言ってた幼馴染?」
高校からの付き合いの千代は、まだ壱夜くんのこと知らないんだっけ。
あたしは詩織の了解を得て、詳しく説明してあげた。
詩織と壱夜くんの関係。
それから、今日の健康診断は氷室総合病院から、助手として壱夜くんも来るということ。
全て聞き終えた千代はニンマリしている。
「いいなあ~詩織!
恋人じゃなくても想いが通じ合ってるって、素敵だよー!」
きゃあきゃあとした声が響く。
「てことはさ、詩織って未来の社長夫人!?」
千代はさらに突っ込む。
でもその質問に、詩織はゆっくりと首を横に振った。
「あたしね…少しでも壱夜の力になりたいの。
だから、社長夫人…にはなるんだろうけど、その前にちゃんと病院で働きたいの!
…薬剤師として、壱夜が診た患者さんに最良のお薬を届けて…少しでも壱夜の力が増せるように!」
そう言って詩織は照れくさそうに微笑んだ。
詩織は現在学年3位。
どうしても"斎条雄貴"と"智坂明"を越せないって、いつも嘆いている。
…だから雄貴と会った時も、名前だけは知っていた。
「あたし詩織のとこに、薬貰いに行くからね。」
そう言って詩織に微笑んだ。
「千代も千代も!!」
そう言って3人で笑った。