蜜花 -First.ver1-
「あ、雄貴。ここでいいから。」

そう言った場所は駅へと向かう道のど真ん中。

「ん、そか。じゃあまたな。」

「うん、今日はありがと…楽しかった。」

本当に今日は、楽しかった。
おかげで嫌なことも、少し忘れることができた。

「おう、何かあったら…いつでも来い?」

「うん!…あの、さ。」

「ん?」

あたしはうつむく。
そんなあたしに、雄貴は優しい声で反応してくれる。
安心―…そんな沈黙が続いた。

「明日は…仲直り出来るかな?」

勿論閑玖との事情は言ってはいないが―…

「うん、大丈夫だろ。」

あっさりと雄貴は言った。

そんな即答に、あたしは心が軽くなった気がした。

「そうだね!ありがと。」

「ん。またな。」

「うん!」

そう言ってあたしは駅へと向かった。


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