蜜花 -First.ver1-

―ガタン…

「今日は楽しかったなあ…。」

電車の中でそんな事を呟きながら、あたしはストラップを見た。

イチゴ色のストラップ。
雄貴はチョコミント色。

「これっておそろいに…なるのかな?」

そう考えると、顔が熱くなる。
でもこれって、アリなのかな?

とそこまで考えて…

あるものに気付く。

途中、雄貴がトイレに行くから、と預かっていた袋…?

「返すの忘れてたっ!?」

どうしよう、今からじゃもう無理だし…

「はあ…。」

あたしって馬鹿…。

でもよくよく袋を見てみると、ストラップを買ったお店屋さんの袋だった。
確か雄貴は買ったストラップを携帯に付けていた…ハズ。

じゃあこれは…空?

なあんだ、と安心したが…何故か重い。

「…?」

…。

―…?

「ごめん雄貴!」

一人電車の中で謝り、中身を確かめようとした瞬間―…

「犬仲山駅~…犬仲山駅~…」

タイミングよく、駅に到着してしまった。
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