蜜花 -First.ver1-
―ガサガサ。
ここの店の袋は紙なので、音がうるさい。
けれども、あたしはそれを見た瞬間、あたしの手の中の音は消えた。
「…これ…!」
そこにあったのは、白いテディベア。
ネックレスもきちんとついている、あの時のテディベアだった。
「どうして…」
雄貴は目を丸くしたあたしを見て笑い、頭をポンと撫でた。
「プレゼント♪欲しそうにしてただろ?」
…見て、たんだ…
「ありがと…」
雄貴は「おう!」と頷いて笑った。
その笑顔に、胸がキュ―…となる。
あたしは慌てて下を向いた。
「なあ、こいつさ…」
そう言ってあたしからテディベアを取り上げると、ネックレスを外してしまった。
そしてあたしの手を取り、ゆっくりと腕につけてくれた。
「ほらピッタリ!こいつの首と、彩帆の腕!」
「!」
あたしは驚いて、もう一度腕とテディベアを眺めた。
「テディベアからのプレゼントだな。」
そう言って笑う雄貴。
もしかして、このために…?
「じゃああたしも、リボンをお返しにあげなきゃ…。」
あたしは首元が寂しくなった、このテディベアを見ながら呟いた。