蜜花 -First.ver1-
―ガラッ
「壱夜~?」
「壱夜くんー?」
お昼休み、あたしと詩織は保健室に来ていた。
「げっ!…これ、明らかに壱夜の仕業だよね…?」
そこには、散乱している本の山。
氷室総合病院の薬局で見た光景と、全く同じだった。
ただ違うのは、壱夜くんがどこにもいないということ。
「ちょっ…信じられない!母校でもないのに、ここまで散らかす!?」
そう文句を言いながら、黙々と片付けていく詩織。
それにしてもこの量…1日に何冊読んでいるのだろうか。
―ドサドサッ!
「…あー…やっちゃった。」
折角積み上げた本が、崩れてしまった。
「しぃーっ!寝てる人、居るみたいだから静かにね!」
そう言われたけど、崩れたものは仕方ない。
また積み重ねていると、詩織が不自然な行動をしていた。
「何してるの…?」
「へへっ♪寝てる奴、誰かなぁと思って♪」
どうやら、ベッドを覗こうとしているらしい。
そりゃ気になるけど、失礼だよね?
そう言って止めようとしたが、遅かった。
詩織はもうカーテンをめくっていて…って!?
そこに寝ていたのは、
「壱夜あああああっ!!!!!」
詩織の怒鳴り声が響いた。