蜜花 -First.ver1-
「ふにゃ?」

大きなあくびと共に壱夜くんは起き上がる。

「人に本を片付けさせておいて、何寝てるのよ!!」

「別に頼んでない…」

そんな文句も、詩織に睨まれて小さくなる。

「もうっ!せっかく来たのに、昼休み終わっちゃうじゃない。」

確かに…。
時計を見ると5分前。

「じゃ、放課後ってことで。」

そう言って壱夜くんはベッドに戻ろうとするが…

詩織の握り拳を見て、動きが止まる。

「放課後までに、ここの本片付けてあることを祈ってるわよ?」

詩織の怖い位の笑顔。

「は…はい…。」

壱夜くんも引きつり笑顔。

詩織はよし、と頷きあたしの手をとる。

「じゃーねっ!」

そう言ってあたし達は保健室を出た。
< 65 / 78 >

この作品をシェア

pagetop