蜜花 -First.ver1-
「ごめん、何でもないっ!」

そう言って立ち上がる。

何考えてるんだろ?あたし。

会って間もない雄貴に…?

ありえない、そんなハズはない。

あたしの彼氏は…透だけだもん。

そういえば、今日はあたしのためにシュートするって言ってたっけ。

うん、それを見に行こう。

「どこ行くの、彩帆?」

そう言って詩織も付いてくる。

いつの間にか荷物を片付けていた壱夜くんも、付いてくる。

…似た者同士。

「透の観戦♪練習試合だったよね?」

あたしはそう言って、駆け出した。

「ちょ…彩帆!試合開始までまだ時間あるよ!?」

そう叫ぶ詩織の声は、もう聞こえなかった。
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