蜜花 -First.ver1-
「透のとこに…行かなきゃ…」

そう言うけど、ここはどこ?

…屋上。

「何やってんだあたし…。」

透のことを考えていたのに。
体は雄貴を考えているの?

あたしはフラフラとフェンスに寄りかかる。

「はあ…。」

…と、ため息をついていると。

―ボスっ!

「痛っ!」

誰かがあたしのお尻を蹴った。
おかげで前のめりになって、フェンスから落ちそうになった。

「危ないじゃないっ!落ちたらどうすん…」

「よっ♪」

振り返るとそこには、雄貴が立っていた。

「またこのパターン…」

おう、と笑ってピースをする雄貴。

だから、その笑顔が反則なんだってば…。
あたしはプイっと目を反らした。



あたしの目線は、試合の準備をしているグラウンド。



でも隣にいるのは、斎条雄貴。
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