蜜花 -First.ver1-
―辻那透―
私に告白してきた彼は、サッカー部所属のエース候補。
1年なのにここまで期待されている彼は、どう見ても眩しい。
それが故、ファンもけっこういる。
私は確かにサッカーの試合を見に行っていたけど…それはただの付き添いで。
透がそんな風に見てくれているとは、夢にも思わなかった。
「うん…わかった。お願いします。」
そう言って私は、透に了解を出した。
少々軽すぎやしないかと思ってけど、透の笑顔に胸を打たれたみたい。
「やったあ★絶っ対好きにさせるから♪」
そして、また笑顔。
サッカーをやっている姿はかっこいいのに、この笑顔はとても可愛い。
そんなギャップに驚きつつ、微笑んでいると―…。
え?
一瞬感じた廊下からの冷たい視線。
またファンの子だろうか?
…いや、でも違う。
私の中で警告音が鳴っていた。
ぞっとするような暗い重い…そんな視線。
今の人は…誰?