うさぴょん号発進せよ
「ちかち、他の船が今現在出払っているらちくて、それでウチにこの仕事が回ってきたみたいなんでち。
しょれにこのくらいなら、どんな素人にだってできる、簡単な仕事でちよ」

船長は軽い調子で、そう言ったのだが。

(このくらい、って…)

この星を出たことのないトヲルにとっては、簡単な話などではない。

それも、ワープ圏外である。更に、他の星での船外活動だ。

そこは勿論、ドームの中などではない。

当然宇宙服を着ての作業になる。宇宙服は体験見学で一度着たことはあったが、その程度だった。

トヲルは急に、不安が込み上げてきた。

「あの…、いくら人手不足だからって、僕が行くよりも、もっとそういうのに慣れてるヒトが行ったほうが、いいんじゃないんですか?
この船からというのが無理なら、他のところから派遣してくるとか、できないんですか?」

トヲルは一応、訴えてみたのだが。

「あのケチな社長が、そんな気の利いたことをしてくれるとは、到底思えねぇな」

「同感でち」

最初から言っても無駄、ということなのだろうか。二人の意見が、何故か一致しているようだ。

「船長」

突然、女性の声がした。その主の方向を見ると、セリシアである。
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