うさぴょん号発進せよ
「特別何も聞いてないわ。
ただ私も気になったんでこの前、お姉ちゃんには聞いてみたんだけど…。
今はいくつかの惑星管理局からの連絡待ちみたいね」

「やっぱ、そうか…」

コウヅキは額にかかった前髪を掻き上げるように手を置き、落胆した。

「お姉ちゃんもワープ圏内は全て探したから、あとは圏外の惑星からの連絡に望みを託すしかないって、言ってたわよ」

セリシアとヴェイトは、双子の姉弟だった。

他の船員に心を開いていないセリシアが、唯一心を開いているのが、弟のヴェイトである。

だから「もしかしたら、昨日船長から聞いた話とは違う、少し期待のできるものが聞けるのではないか」とも思ったのだが、やはり同じ内容のようだ。

「まあこっちでは、もうやることは、全て手を尽くしてやったんだものね。
あとはタスクのことを信じて、待つしかないんじゃない?」

何気なく言ったその言葉に、コウヅキはピタッと動きを止めた。そして額に手を置いたまま、ヴェイトの顔をじっと凝視する。
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