うさぴょん号発進せよ
「…ごめん」

トヲルが俯いて言う。

「?え、何が?」

ミレイユが下からトヲルの顔を覗き込んできたが、その視線から逃れるように、顔を背けた。

「だって、ミレイユのお父さん…僕の両親のせいで…」

(たぶん両親が逃げようなんて考えなければ、ミレイユのお父さんだって…)

ミレイユの顔が、真っ直ぐに見られなかった。

「ううん。トヲルのお父さんとお母さんのせいじゃ、ないよ」

「え?」

その言葉に、反射的に顔を上げてミレイユを見る。

ミレイユは、屈託のない笑顔を向けてきた。
< 143 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop