うさぴょん号発進せよ
そう言ってミレイユは、トヲルの顔を真っ直ぐに見詰める。

「だからあたしは、早くお父さんとお兄ちゃんのお手伝いがしたいんだ。
今はまだ、あまり力にはなれないけれど。
でも大きくなったら、もっと手伝えるようになりたいんだ」

ミレイユの目の奥に、眩しい光が瞬いたような気がした。

(まだこんな小さいのに、ミレイユは…)

強い意志、を感じる。

それは、自分にはないモノだ。

トヲルはそんな自分が恥ずかしくなり、ミレイユの顔を正面から見ることができなかった。

「今はあたしも、お父さんのことを待つことしかできないけど。
でもここには、お兄ちゃんがいるし。船のみんなだっているし。
みんな、家族だからね。
だからトヲルも、きっとここでなら安心して、お父さんとお母さんの帰りを待つことができると思うよ」
< 146 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop