うさぴょん号発進せよ
トヲルは勿論、サバイバル訓練等を受けていない、ごく普通の一般庶民である。

だが何者かの殺気のようなものが、突然背後に出現したことを感じ取っていた。

「お前、ミレイユを夜中に連れ出して、一体何をしようとしているんだ?」

同時にボキボキッという、何かが鳴るような音も聞こえてくる。

徐々に近付いてくるソレに対して、身体が極度に緊張し、全身から汗が吹き出してきた。

足が竦んで、動けない。振り向くことさえもできなかった。

それは元来備わっているはずの人間の本能が目覚め、警告しているのであろうか。

「俺の目の前で、いい根性してんじゃねぇかっ!」

「ちょ…っ!?お兄ちゃんっ!!!」

ミレイユの悲鳴が上がったのと、同時だった。



ゴィィィンッ!



鈍い響きが、夜空全体に広がった。
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