うさぴょん号発進せよ
必死に穴から這い出ると、最初にトヲルが乗っていた岩盤はいつの間にか崩れ、もう既に跡形もなくなっていた。その辺りに、船から持ってきた簡易梯子が下りているのが見える。

トヲルは考える間でもなく夢中でそこへ飛び込み、梯子にしがみついた。そして急いでそれを登って脱出した。

だが、それで安心している暇はなかった。

やはり先程の爆発のせいなのだろうか。上った先の地面もまた、無数の亀裂が入っていたのである。落ちる前にはなかった亀裂だ。

『このままここにいたら、マズい!早く外へ出るんだ』

トヲルが最初に自分達が通ってきた穴の方を見ると、コウヅキが荷物を抱えてこちらを見ていた。

また微震がする。もし再び大きな揺れが起こったら、今度こそ、この床が本当に崩れるかもしれない。

そう考えたトヲルは急に恐くなり、慌ててコウヅキの元へと駆けていった。

コウヅキに続いてそこへ入っていく。

途中「穴の中も崩れて生き埋めになったらどうしよう」と、一瞬不安も過ぎったが、幸いにも大きな地震がなかったためか、無事に穴から這い出ることができた。
< 168 / 352 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop