うさぴょん号発進せよ
それは、イタチのように見えた。

細身の身体に、金色の毛並み。小首を傾けたソレは愛らしい、つぶらな黒い瞳をしている。

動いている、ということは、生きた小動物なのだろうか。

「ナニ…、コレ…?」

『そいつは、こっちが聞きたいぜ。…おい、船長』

コウヅキは猫を掴むように、首の付け根部分を持ったまま、船長に話し掛ける。それでも小動物は特に暴れもせず、大人しくしていた。

『ここに生物はいないって、あんた前に言ってたよな』

『うむ。確かに現在は滅びていて、生命体は存在しないはずでちよ。しょれが何か?』

『でも現にここにいるぜ。小さい動物のようだが、ちゃんと生きているヤツがな』

さらっと言ったコウヅキの言葉に対して、船長は数秒間何も言わなかった。辺りの刻が、止まっているかのようだ。
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