うさぴょん号発進せよ
《どうやら、長話が過ぎてしまったようじゃ。そろそろ始めるぞよ》

「でも何で?ペルは、自分がもうすぐ死ぬって分かっているのに、何でこんな…」

ペルギウスは再び、ゆっくりと目を閉じた。

《其方に恩を返したい、ということもあるのじゃが。
…もしかしたら其方には、我の「生きた証」を残したいだけなのかもや知れぬ》

「えっ、僕に生きた証?…それ、どういうこと??」

ペルギウスの言っている意味が分からず、また聞き返してみたのだが、今度は何も答えてはくれなかった。

どうやら既にダイブに入ってしまったようである。

トヲルは考え込むように、暫くそこに留まっていた。

が、やがてひとつ溜息を吐くと、目を閉じたままで全く動かなくなってしまったペルギウスを両手で抱え込むように持ち、廊下を歩き始めたのだった。
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