うさぴょん号発進せよ
トヲルはそのまま、操舵室へと続く階段を上っていったのだが。

「全く、オメーはいつも来んのが遅せぇんだよ」

案の定、コウヅキがまた文句を言ってきた。

「しょれではトヲル、早速回収したものを見せるでち。確か、紙のようなものがある、とか言ってたでちね」

「あ!」

小さく声を上げ、ここで漸く思い出したのである。

「す、すいません。ソレ、穴から逃げるときに無くしてしまいましたっ!」

即座に頭を下げて謝った。船長からは、小言の一つでも言われる覚悟をしていたが、しかし。

「まあ…、無くしたものは仕方ないでちね」

意外にも、トヲルを責めるようなことはしなかった。
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