うさぴょん号発進せよ
「本当はそれも重要なモノでちたけど、今目の前に居る生きた資料のほうが、更に重要でちから」

そう言うとトヲルの手のほうに、意味ありげな視線を送った。

(生きた資料?)

「あれ?コイツ、さっきからなんか、動いていないんじゃないか?」

置物のように、全く動かないペルギウスの異変に気付いたのか、コウヅキが人差し指でその身体を小突いてくる。

「あ、そ、そんなことないって。き、き、気のせいだよ、きっと…」

慌てて自分の背後に隠すように、ペルギウスを移動させた。

「では、早速しょれをこちらへ寄越すでち」

船長が先程と同じように、また手を差し出してきたのだが。

「船長。その前に一つ、聞きたいことがあるんですけど」

「む?またでちか。今度はなんでち?」

船長はややうんざりしたような顔をしたが、構わずに言葉を続ける。

「そちらに渡した後って…この動物はその後一体、どういうことになるんですか?

ペットとして何処かに売り払われたりとか、されるんでしょうか?」
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