うさぴょん号発進せよ
本当にそこに自分の職場が関係しているのだろうか。

もしも。

だとしたら。

男の脳裏に、娘と息子の顔が同時に浮かんできた。

「それは一体…?
もしかして義兄がそこにいるかどうか、あなたが確かめに行ってくれる、ということなのでしょうか?」

「それも、ある」

「今、兄は一体どういう状態なんですか?それも調べて下さったのでしょう?」

「それは…」

男は口籠もった。

本当のことは言えない。まだその確証さえも、掴んではいないのだ。

「今はまだ、はっきりと断言できない。本当にそこにいるのか…それもまだ定かではない。だからそれを俺が実際に行って確かめてくる」

「なら」

アキナはそう言うと振り返り、ハルヒトを見た。瞬間、男には二人の視線が絡み合ったように見えた。
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