うさぴょん号発進せよ
同時に今まで失われていた五感が、徐々に戻ってくるようだった。

遠い、古い記憶の中にある異臭が、鼻腔の奥に無理矢理割り込んでくる。

「これであなたもおトモダチねっ」

声も聞こえる。少女の声だ。

「ふふふっ、楽しみっ」

少女の無邪気な笑い声が聞こえる。



長い―。



長い夢を見ていた。

本当ならば、調査が終われば直ぐにでも帰還するつもりだった。

ここに長く滞在するつもりもなかった。

ただ、アキナの兄の消息を確認するだけで良かったのである。

帰還した後は自分ひとりで、どんな罰でも受ける覚悟はできていた。

それがまさか、こんなことになるなんて。

(俺は、守れなかった)

男は激しく後悔していた。





ゴメン。



ミレイユ―。



スマン。



コウヅキ―。





混濁する意識の中で、男は子供達に詫びることしかできなかった。
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