うさぴょん号発進せよ
「何故それが分かる?」

「理由は簡単。さっき私が見た航行記録よ。
それを見ると、磁場の大きな乱れが生じたのは、1回のみだった。勿論、私達のいた空間へ転位してきた時ね。
もしその後に再び転位したとなったら、少なくともあと1回は大きな磁場の乱れが記録されるはず」

と、ここでヴェイトは腕を組み直しながら、横に座って作業をしているセリシアに顔を向けた。

「お姉ちゃん、次の転位までの時間は、もう割り出せたかしら?」

「約13時間後です」

今は仕事中だから、なのだろうか。速攻で答えたその声は、弟のヴェイトに対しても事務的な口調を崩さなかった。

「あと13時間、ね」

ヴェイトは顎に手を当て、考え込むように頷いた。
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