うさぴょん号発進せよ
ヴェイトの言葉でこの場にいた全員の動きが、一瞬だけ凍り付いたかのように見えた。

「どういうことだ?」

直ぐに我に返ったコウヅキが、声を絞り出すように言う。

「本当にオヤジの乗った船だというのか?」

「あの船の緊急救難信号が『探々くん』を介して、こちらに送られてきているのよ。だからそれをお姉ちゃんに解析してもらったの。その時にそれがタスクの盗んだ船だと判明したわけ」

ヴェイトは険しい顔を崩さぬままに淡々と言ったのだが、トヲルの頭は逆に混乱していた。

(それって…それってつまり、あの中には…)

「それじゃあ、あの中にお父さんがまだいるの?」

トヲルが質問をする前に、ミレイユが口を開いた。
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