うさぴょん号発進せよ
「それは分からないわ。扉が閉まっていて『探々くん』ではこれ以上、中に入れないもの。勿論、ドームの中も同様にね」

「でも『探々くん』なら扉くらい、簡単に開けられるんじゃないの?」

それに対してヴェイトは、首を横に振った。

「残念ながら、ウチのじゃ無理なのよ。何世代も前の代物だから。しかも本社でいらなくなったのをタダで譲って貰った物だから、必要最低限の作業しかしないのよね」

「何故、そんな骨董品しかなかったんだ?最新式とまでは言わなくても、もっと新しいヤツを貰えなかったのかよ」

「コウヅキあんた、この船の船員みんなが、どんな境遇でここにいるのか知ってるでしょう?
こちらだって社長に過剰要求はできないのよ。
アレだって、やっと譲って貰ったものなんですからね」

メグ族の特徴でもある焦点の合わないビー玉のような蒼眼で、ヴェイトはコウヅキを軽く睨み付けた。

皆が話をしている間にも、画面は地面に横たわっている機体に近付き、そのまま周りを旋回し始めたようである。
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