うさぴょん号発進せよ

「オヤジの乗った船が消息不明になったのって、１ヶ月以上も前の話なんだぜ。そんなに長い間この中に、閉じ込められているってことかよ。いくらなんでも、もうここから脱出してるんじゃないのか?」

「さっきも言ったようにこの空間と外の宇宙空間では、時間の流れ方が違うのよ。特に磁空転位をした後ではね」

ヴェイトは少し考え込むように、頬に手を当てている。

「もしかしたらこの空間がこの場所に転位してくる前は、１ヶ月前の時間軸にあったんじゃないのかしらね」

「どういうことだ?」

「タスクの船の状態から考えると、あの船がここに飲み込まれたのが、今から約１ヶ月前。
その時、何らかのトラブルでも生じたのか、救難信号を発しながらあの星に不時着する。
で、それから数時間後にこの空間が、私達の時間へ再び転位した。
つまり…」

ヴェイトは一同の反応を確かめるように、一旦言葉を切った。