うさぴょん号発進せよ
「外の宇宙空間…私達のいた場所では1ヶ月もの時が過ぎているけれど、この空間内では、まだほんの数時間しか経っていないかもしれないってことよ」

「空白の1ヶ月―。時間をワープした、ということだな」

ビルホークが髭をゆっくりと撫でつけながら言った。

「勿論これはこの状況から判断しただけの、あくまでも私の推論にしかすぎないけれどね」

「仮にお前が言うように、もしまだオヤジがあそこに取り残されている可能性があるんだったら、俺は必ず助けに行くぜ」

揺るぎない意志を込めたコウヅキのその言葉に、ヴェイトは一つ息を吐いた。

「あんたなら、そう言うと思ったわ。そのために皆を呼んだのだけど」

《其方の両親のことじゃが…》

ペルギウスが、少し身を起こす。

《其方の両親の気配、この場所に入った途端にしたのじゃ》

「えっ!?」

驚いて、思わず声が漏れた。

「どうかしたのかしら?トヲル」

「あ、いや、なんでもないです」

こちらを見るヴェイトに、トヲルは慌てて口を押さえる。
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