うさぴょん号発進せよ
トヲルの肩に這い登りながら、ペルギウスは言った。

《我の力の一つに、瞬間的に別空間へ移動する能力があるのじゃ。ダイブ程の力は必要ないのじゃが、しかし今の我ではそう遠くまで飛ぶことができぬからな。何度か連続で飛んで、ようやくここへ辿り着いた。そういうことじゃから我はまた少し、休ませてもらうぞよ》

一方的にそう言うと再びトヲルの肩に凭れ、目を瞑るのだった。

「ミレイユ!」

鋭い声が飛んだ。前を向いたままで運転をしている、コウヅキである。

「お前、あれほど駄目だと言ったのに!」

「ご、ごめん、お兄ちゃん。でもあたしお父さんのこと、どうしても助けに行きたかったの。あたしだって、何かきっと役に立つよ」

「駄目だ、今すぐ降りろ!」

「………」

ミレイユはコウヅキに怒られ、下を向いたまま唇を噛んでいた。

トヲルはそんなミレイユが、少し可哀想になってきた。
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