うさぴょん号発進せよ
『やっと到着したわね』

船から降りると待っていたのは、サッカーボールほどの球体であった。宙に漂っているソレが、探査用ロボである。

『私の声、ちゃんと聞こえているかしら?』

『大丈夫だ。問題ない』

探査用ロボを介して発せられる音声には多少ノイズもあり、聞き取りづらい部分があるものの、トヲルの耳にもよく聞こえていた。

『きゃっ!?』

ミレイユの悲鳴に振り向くと、船のタラップの下で倒れているのが見える。コウヅキが直ぐ様駆け付けた。

『ミレイユ、どうした!?』

『大丈夫。何でもないよ、お兄ちゃん。船から出た途端に、上手く歩けなくなって…それでちょっと転んじゃっただけだから』

「あ、そうか。ミレイユの服は重力調整してないから、バランスを崩したんだね」

トヲルとコウヅキの宇宙服は、事前にこの星の重力に合わせて調整していたのだが、突然行くことになったミレイユには何もしていなかったのである。
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