うさぴょん号発進せよ
『お前、ナニ冷静に分析してるんだよ。それより、本当に大丈夫なのか?』

『うん、平気。……あ、ありがとうトヲル』

トヲルは服の外側からも調整できることを思い出し、ミレイユの腰付近に埋め込まれている小さなパネルを操作していた。

『あ〜らら、ミレイユも来ちゃったのね』

軽い口調の球体が、3人の方に近付いてくる。

『あの、ごめんなさいヴェイト』

『まあ私のほうは、一向に構わないんだけれどね』

『ヴェイト、本当にこの空間は大丈夫なんだろうな?』

コウヅキが球体に顔を向けた。

『大丈夫って、何が?』

『例えば、人体への影響とか。船の通信機器や腕輪の機能が使えないほどの磁気が、この空間内には充満しているわけだろ。俺達が外に生身のまま出ても、平気かってことさ』

『なんだ、コウヅキはそんなこと気にしていたわけ?』

球体はくるくると旋回しながら言った。

『それなら大丈夫よ。探々くんでもそうなんだけど、宇宙服にはそういったものを遮断する機能が付いているから、ある程度の負荷には耐えられるはずよ。
それに私はそんな危険な場所へ、あなた達を送り込んだりなんかしないわよ』

『…そうか、ならいい』

コウヅキは目を瞑り、息を吐き出すかのように言った。
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