うさぴょん号発進せよ
コウヅキがミレイユを助け起こし、トヲルがわたわたと一人で藻掻いている間にも探査用ロボは、内蔵している小型カメラを上下左右に忙しなく動かしながら、無言で暫く空中静止をしていた。

だがようやく口を開く。

『どうやらこの中の空調機能も、まだ停止していないみたいね。もう服を脱いでも大丈夫よ』

『本当に大丈夫なのか?』

いつもの軽い調子で言ったその球体に、コウヅキは疑いの眼差しを向けた。

『何よ、その目は。脱ぐも脱がないも、私は別に強制しないけどね』

画質の悪い探査用ロボからでは、その目付きまでは見えにくいはずなのだが、ヴェイトはそれを雰囲気で感じ取ったのか、不機嫌そうな声を出す。

コウヅキはそんな球体を一瞥したが、無言で服を脱ぎ始めた。やはり装着したままでは、動きづらいのである。

3人が脱いだ服は重い荷物となるため、その場に置いていくことにした。

『それじゃあ、サクサク探索しましょうっ』

ヴェイトの妙に明るい声だけが、通路内に響き渡る。
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