うさぴょん号発進せよ
トヲルは驚いて立ち上がり、周囲を見回す。

「な…」

声が漏れそうになって、慌てて両手で口を押さえる。

(何、今の?…もしかして、銃声!?)

一般人の銃の所持は、護身用としてなら法律でも認められているため、違法ではない。

とはいえ、ごく普通に生活しているのなら、銃などというものには無縁なはずである。

トヲルも勿論、本物の銃声は今まで聞いたことがなかった。しかし娯楽番組などで、本物に似せた音なら聞いたことがある。

2発。3発。

銃の持ち主は、続けて撃っているようだ。

流石に恐くなり、その場から逃げ出したかったのだが、足が竦んで動けなかった。

と同時に、頭上でも大きな音がする。

バンッ。

先程よりも近い場所で音が鳴ったので、今度は飛び上がるほど驚き、反射的に上を見上げた。

見ると窓が開き、中で物が複数落ちるような音がする。カーテンも激しく揺れていた。

トヲルがその場で呆然と見上げていると、カーテンの隙間から黒い影が躍り出てきた。

なんと『それ』は、トヲルに向かって真っ直ぐに落下してきたのである。
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