うさぴょん号発進せよ
探査用ロボを先頭に、3人は狭い通路を歩いていた。通路内は先程と同じように薄暗かった。

「この廊下、一体いつまで続くんだよ」

球体の後ろを歩いているコウヅキが、ややうんざりしたような声で言った。

分岐点の何もない、先へ進んでも全く変化のないこの通路内では、時間感覚というものをまるで感じることができなかった。

トヲルはたったそれだけのことが、これほどまでに心許ないことだとは思わなかった。

『このドーム、外から見ても分かるとおり敷地面積はそんなに広くないはずよ。地下通路が何処へ出るかは分からないけど、もうすぐ外へ出られるんじゃないかしらね』

しかし通路の奥は暗く、周りの景色は先に進んでも全く変わらない。トヲルは自分が出口のない迷路に迷い込んでしまったような、そんな錯覚を起こし始めていた。

『でもそうね…私、あとどのくらいで出られそうなのか、先へ行ってちょっと確認してこようかしら?』

「あーっ!お前、なんで早くそれを実行しなかったんだよ。よく考えてみたら、俺達よりも速く動けたんじゃねぇか」

『あはは、私も今までそのことをすっかり忘れてたのよね』

誤魔化し笑いをその場に残し、ヴェイトは脱兎の如く奥へと消えていった。
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