うさぴょん号発進せよ
「てことは、オヤジが一緒に逃げたって言ってたのは、アキナのことだったのか」

「逃げ、た?そうか、そういうことになってる、のか」

「それを知っていたら、俺だって!…いや、今はそんなことより一刻も早く、オヤジを手当しねぇと」

ごぼっと音を立て、突然タスクの口から血が溢れ出てきた。

「お父さん、しっかりして!」

「どうやら肺をやられちまった、みてぇだな」

苦しそうに喘ぎながらも、タスクは血の滴り落ちる口の端を無理矢理上げて笑った。

「ねぇ、遊ぼうよぉ」

トヲルの耳元で、少女の囁く声が聞こえた。驚いて振り向くと、アイが背後に立っている。

《!むぅ、いつの間に!?》

ペルギウスもトヲルの肩で身構えていた。

《瞬時に気配を悟られぬとは、やはり我の能力がもう限界なのじゃろう。
じゃがこの気配、誠に「闇の者」なのか?若干異物も混じっておるような。
とはいえ、これもまた能力低下が要因ともなれば合点はいくが、しかし…》

ペルギウスは独りで、何やらぶつぶつと呟いている。

だが今のトヲルにとっては、そんなことはどうでもよかった。
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