うさぴょん号発進せよ
『ソイツ』というのを見れば、そのヒトは人間ではなかった。

ほぼ平均的な人間の成人男性と、同様の容姿をしているのだが、肌は水色で、額に一本角が生えていた。顔はかなり強面で、筋肉質な体格をしている。

いくらこの星では、人間の割合のほうが多いとはいえ、異星間交流が盛んな今の世の中では、特にそれは珍しくもない。

トヲルでもその容姿をみて、『ブリリット星』のヒト、だと分かるくらいであった。

「ちっ」

ブリリット星人は舌打ちをすると、フェンスの方へ駆けていった。そしてそのフェンスをよじ登り始めたのだ。

フェンスは金網状になっているので、登りやすかったようである。トヲルが躊躇している間にも、もう既に上の方まで登っていた。

ブリリット星人がフェンスの頂上に左手をかけた、その瞬間、

「ぐぁっ!」

叫び声と共に、ブリリット星人はフェンスから転げ落ちたのだった。
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