うさぴょん号発進せよ
言われるままに手を伸ばし、銃を掴んだ。初めて持った銃は、手に収まるほど小型であったが、ずっしりと重かった。

(僕はいつも他人に迷惑を掛けてばかりで、何の役にも立たなかったけれど)

銃を手に持ち、のろのろと立ち上がる。

コウヅキとミレイユの姿は、死体達に囲まれて見えなくなっていた。

(今なら僕は…僕があの二人を助けられるかもしれない)

できるだけ、エレベーターから遠い場所へ。

ガラスの向こう側へ通じている、小さな出入り口が開いたままになっていることは、既に確認済みだった。

コウヅキが自分の言うことを信じてくれたときには、すごく嬉しかった。

初めて自分を認めてくれたような気がした。

そんなコウヅキを、自分も信じようと思った。

コウヅキなら、今から自分がやろうとしていることを、きっと分かってくれる。





「オモチャなら、ここにある!」

トヲルは銃を天に、高々と掲げながら叫んでいた。
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